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什器の印象を変える金属塗装|基本から特殊塗装まで

目次
店舗やオフィスで使用される什器には、スチール、ステンレス、アルミなど、さまざまな金属が使われています。
金属塗装というと、表面に色を付ける工程を思い浮かべるかもしれません。しかし、塗装には金属を錆や傷から守り、什器を長く使える状態にする役割もあります。
また、金属の代表的な仕上げにはメッキもあります。さらに最近では、木目、石目、錆、古美色などを表現する特殊塗装も活用されています。金属の強度や加工性を生かしながら、多彩な表情をつくれることが、金属仕上げの魅力です。
今回は、金属製什器に使われる一般的な塗装、メッキ、特殊塗装の違いと、発注時に確認したいポイントを紹介します。
金属製什器に塗装する理由
金属塗装には、大きく分けて「保護」と「デザイン」という二つの役割があります。
スチールなどの金属は、水分や汚れの影響を受けて錆びることがあります。また、商品の出し入れや清掃、ハンガーや金具との接触によって表面に傷が付くこともあります。塗装によって金属の表面に塗膜をつくることで、錆や傷の発生を抑えられます。
もう一つの役割がデザインです。同じ形の什器でも、白く塗れば明るく清潔な印象になり、黒の艶消しにすれば落ち着いた印象になります。鮮やかな色を使えば、売場のアクセントやブランドカラーの表現にもなります。
金属塗装は、什器を保護する技術であると同時に、空間の印象を整える仕上げでもあるのです。
什器に使われる代表的な金属
金属製什器に多く使われるのが、スチール、ステンレス、アルミです。それぞれの特徴を知っておくと、仕上げを検討しやすくなります。
スチール
スチールは強度があり、棚板、フレーム、脚部、ハンガーラックなどに幅広く使われています。加工しやすく、さまざまな形状をつくれることも特徴です。
一方で、水分や傷によって錆びる可能性があります。そのため、下地処理や下塗りを行い、防錆性を確保したうえで塗装することが大切です。
ステンレス
ステンレスは、一般的なスチールより錆びにくく、水回り、厨房、カウンター、巾木などによく使われます。
ヘアラインや鏡面など、素材本来の質感を生かして無塗装で使用することもあります。塗装する場合は、表面が比較的平滑で塗料が密着しにくいため、適切な下処理が必要です。
アルミ
アルミは軽量で加工しやすく、フレーム、パネル、サインなどに使われています。
スチールのような赤錆は発生しにくいものの、表面には酸化皮膜があるため、塗装前の処理が重要です。仕上げには塗装のほか、人工的に酸化皮膜をつくるアルマイト処理もあります。
金属塗装は下準備が重要
金属塗装の品質は、完成後には見えなくなる下準備に大きく左右されます。
基本的な工程では、最初に金属表面の加工油、手脂、ほこりなどを取り除きます。油分が残ったままでは、塗料がはじかれたり、使用中に剥がれたりする原因になります。
次に、錆や表面の荒れを研磨などで整えます。そのうえで下塗りを行い、上塗り塗料が密着しやすい状態をつくります。スチールでは、下塗りが防錆にもつながります。
その後、指定された色を塗り、塗料に合った方法で乾燥または硬化させます。最後に、色むら、塗り残し、傷、異物、剥がれなどがないかを確認します。
完成直後はきれいに見えても、下地処理が不十分だと、時間の経過とともに塗膜の剥がれや錆が発生することがあります。塗料の名称だけでなく、どのような下地処理を行うかも重要です。
代表的な金属塗装の方法
金属製什器でよく使われる方法には、焼付塗装と粉体塗装があります。
焼付塗装は、塗料を吹き付けた後、加熱して塗膜を硬化させる方法です。均一な仕上がりにしやすく、色や艶も幅広く選択できます。基本的には工場で施工するため、部材が加熱炉に入る大きさかどうかも確認が必要です。
粉体塗装は、粉末状の塗料を静電気などで金属に付着させ、加熱して仕上げる方法です。比較的厚く丈夫な塗膜をつくりやすいため、棚やフレームなどにも利用されています。有機溶剤の使用を抑えやすいことも特徴です。
どちらが優れているかではなく、什器の形状、数量、使用場所、必要な耐久性、希望する色や質感によって選びます。
塗装とは異なる金属仕上げ「メッキ」
金属製什器の仕上げでは、塗装とともにメッキもよく使われます。
塗装が金属の表面を塗料の膜で覆うのに対し、メッキは別の金属の薄い膜で表面を覆う処理です。金属らしい輝きや、薄くシャープな外観をつくりやすいことが特徴です。
什器でよく見られるクロムメッキは、明るい銀白色の光沢を持ち、ハンガーラック、取っ手、パイプ、棚受けなどに使われます。ニッケルメッキは、わずかに黄色味のある金属光沢が特徴です。亜鉛メッキは、意匠よりもスチールの防錆を主な目的として使われます。
装飾性を重視する什器では、真鍮色、銅色、ブロンズ色などの仕上げも選ばれます。同じゴールド系でも、明るさ、赤味、光沢によって印象は大きく異なるため、実物サンプルでの確認が欠かせません。
メッキは金属らしい光沢を表現しやすい一方、傷が付いたときの部分補修が難しい場合があります。塗装は色や艶の選択肢が多く、艶消しや表面の凹凸も表現しやすい仕上げです。外観だけでなく、使用場所、摩耗、清掃、補修方法まで考えて選ぶ必要があります。
色と艶で変わる什器の印象
特殊な模様を付けなくても、色と艶の組み合わせで什器の印象は大きく変わります。
白は明るさや清潔感を与え、黒は空間を引き締めます。グレーは落ち着いた工業的な印象、ブロンズ系は上品でクラシックな雰囲気をつくりやすい色です。
艶ありは光を反射し、華やかに見えます。艶消しは反射を抑え、落ち着いた印象になります。その中間の半艶は、光沢と落ち着きのバランスを取りやすい仕上げです。
ただし、「黒の艶消し」と指定するだけでは、発注者と製作者のイメージが一致しないことがあります。色番号に加え、艶や表面の細かさを実物サンプルで確認することが大切です。
特殊塗装でデザインの可能性が広がる
特殊塗装では、模様、凹凸、色の濃淡を加えることで、木、石、錆、古びた金属などを思わせる表情をつくれます。
例えば、木目調塗装を使えば、金属製フレームの強度や細さを生かしながら、木材のような温かい印象を与えられます。石目・タイル調塗装では、金属下地の軽さと加工性を保ちながら、石材を思わせる重厚感を表現できます。
錆や経年変化を表現するエイジング塗装は、ヴィンテージ調やインダストリアルな空間と相性がよい仕上げです。金属を本当に腐食させるのではなく、塗装で使い込まれた表情をつくるため、防錆性と意匠性を分けて考えられます。
また、真鍮、銅、ブロンズなどを思わせるメッキ風塗装もあります。実際のメッキとは材料や工程が異なりますが、色の濃淡や古びた表情を加えやすく、大型部材や複雑な形状に対応できる場合があります。
特殊塗装技術では木目やメッキ風・古美色風があり、又、錆や経年変化を表現したり、石・タイル調の表現も可能です。
特殊塗装の魅力は、金属を別の素材に見せることだけではありません。構造に適した金属を選び、その表面に空間のコンセプトに合った表情を加えられる点にあります。
ただし、手作業を含む仕上げでは、模様や色に個体差が生じる場合があります。写真や小さな色見本だけで決めず、実際の金属と同じ条件で製作したサンプルを確認しましょう。
特殊塗装を使用した施工事例
「日比谷ビルディング 」エントランス リニューアル
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「日比谷ビルディング 」エントランス リニューアル

発注前に確認しておきたいこと
金属仕上げを発注するときは、次の項目を整理して製作者へ伝えます。
- 素材はスチール、ステンレス、アルミのどれか
- 屋内、半屋外、屋外のどこで使用するか
- 水、洗剤、アルコールなどに触れるか
- 商品やハンガーが頻繁に接触する場所はどこか
- 塗装、メッキ、特殊塗装のどれを希望するか
- 希望する色、艶、光沢、模様は何か
- 模様や色の個体差をどこまで許容するか
- 傷や剥がれが生じた場合に補修できるか
- 実物サンプルを確認したか
例えば、「スチール製の屋内用陳列什器。全体はダークグレーの艶消し塗装、取っ手はクロムメッキとし、色、艶、模様は実物サンプルで承認する」と伝えると、条件を共有しやすくなります。
まとめ
金属製什器の仕上げには、一般的な塗装、メッキ、特殊塗装など、複数の選択肢があります。
塗装は色や艶を幅広く選びやすく、メッキは金属特有の輝きを表現できます。特殊塗装を活用すれば、金属に木目、石目、錆、古美色などの表情を与え、素材選びだけでは難しかったデザインを形にできます。
大切なのは、見た目だけで決めないことです。金属の種類、設置環境、摩耗や清掃の頻度、補修のしやすさを整理し、実物サンプルを確認したうえで仕様を決定することが、魅力的で長く使える什器づくりにつながります。
家具什器・サイン・デジタルサイネージのことなら、ぜひご相談ください。
日本ディスプレイセンターは長年の実績とノウハウを基にオリジナル製品の提供から空間のデザインまで手掛けております。お気軽にご相談くださいませ。






